ジョブズ公認本,読了。やっぱり必読かと。

スティーブ・ジョブズ本人の公認伝記「スティーブ・ジョブズ III」,読み終わりました。
なんだか,あっという間でした。

スティーブ・ジョブズ Iスティーブ・ジョブズ II

本人公認ですが,この内容は読んでもいないそうで,「どうせ,不愉快な部分もあるんだろう?だったら1年後に生きていたら読むよ」と答えていたそうです。

なので,ジョブズをむやみに褒め称えるような内容でもなく,重要な出来事が登場する場面では,ジョブズ氏自身のコメントの他に,敵対した相手の言い分,主張も合わせて書いてあり,最終的な判断は読者に任せる,という書き方。
読み手が一番本質に近づける書き方の一つだと思います。

読み終わってみると,ジョブズ氏の印象はかなり変わった部分もありました。

そのプレゼンの時の華やかさとは別の一面があり,時にスタッフに厳しい,という話は聞いたことがありますが,こんなにも感情の起伏が激しく,食生活にこだわりをもち(そのために病中の食生活に支障が出ていた様子),さらに,そんなに家族を愛していたのか,という部分もありました。

2009年の肝移植の時は大変だったんですね…。
もうちょっと遅かったら間に合わなくなる寸前だったとは夢にも思いませんでした。

結果的に,そこも乗り越えてAppleの職務に復帰し,2010年にはiPadを発表し,iPhone 4のアンテナ問題を解決し,今年の6月に息子の卒業式をちゃんと見届けてから旅立ったわけです。これも意思の力なんだろうな。

文中にたびたび登場するジョブズのTim CookとJonathan Iveへの信頼感を感じるコメント,そして,そのTim CookとJonathan Iveのコメントを読んだ今では,彼ら(と今の幹部,経営陣)がいれば,今後もAppleは素晴らしい製品を作る可能性が大きいと思いました。昔のAppleと違って,今ではかなり大きな企業で体力もありますしね。

ただ,(普通の人だったら気にするような)しがらみを忘れて,回りに強力な影響を与えて,壁を打破し,新しいモノを作り出すことにおいて,ジョブズに勝る働きを見せる人は世界的に見ても,当分現れないだろうなと思います。

これらのイノベーションを達成出来た背景には,ジョブズの生い立ち,20代半ばで億万長者になったこと,自らがインドなどで得た達観,カウンターカルチャー世代,一番多感でエネルギーの大きい年代にコンピューター・イノベーションの時代を迎えた事などが複雑にからみあっていたのがよく解りました。

とりあえず,この本は下手な小説よりも,良く出来たドラマとも言えるような実話が満載で,単純に読み物としても面白かったです。
この本を元に映画化も行われるようですが,当然のことながら,この中にあるジョブズの言葉全てを映像化するのは時間的にも難しいかと思うので,時間があれば是非読んでみることをお勧めします。

この本を読んだからといって,ジョブズのようになれはしませんし,彼のように振る舞うのはどうかと思いますが,極めて希有な人生を歩んだ彼の哲学に触れることは,今後自分がいろいろな選択をする上で大きな助けになるかもなあと思いました。

今年,必読の一冊(あ,2巻か)だと思います。

「スティーブ・ジョブズ」iPhone/iPadアプリ版(講談社)
スティーブ・ジョブズ - Kodansha Ltd.

M.Hirose

A.K.A author of palmfan.com

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