Dubinsky氏,HPのPalm, Inc買収により”7つめのフェイズ”が始まった

San Jose Mercury Newsが,先週完了したHPによるPalm, Inc買収をうけての投稿記事として,Palm, Incの元CEOで,現在はNumentaのCEOであるDonna Dubinsky氏の「Opinion: The seven lives of Palm computing」を公開しています。

Dubinsky氏は,Palm OSとPalm Pilotを開発したPalm ComputingのファウンダーであるJeff Hawkins氏や,(Rubinstein氏の前のCEO)Ed Colligan氏と並ぶ,Palmの創設者グループの中でもキー・メンバーの一人です。

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Handspring時代のJeff Hawkins氏とDonna Dubinsky氏

記事の中でDubinsky氏は,Palmの歴史を以下の7つのフェイズに分けてとらえています。

1)インディペンデント
2)US Robotics傘下
3)3Com傘下
4)インディペンデント
5)Handspring合併
6)Elevation investment
7)HP傘下

今回,(HPにより買収された事で)Palmは7つ目のフェイズをスタートすることになったが,前の6つよりも大きなインパクトを与えて欲しいと結んでいます。

Dubinsky氏は,Palm創設の1992年1月の頃を思い出せば,Jeff Hawkinsの”パーソナル・コンピューティングの未来はハンドヘルドにある”という主張を信じるものは少なく,現在のようなモバイル・コンピューターは存在せず,さらに言えば,インターネットも無く,ブロードバンド・ワイアレス・データも無く,小さなカラー液晶もなく,低消費電力のプロセッサも無く,リチウム・バッテリーも無く,そして,限られたメモリーしか無い状態だったこと,そして,そのような状況下にありながらも,Hawkinsのリーダーシップの元,最初のマス・マーケット向けのハンドヘルド・コンピューター「Palm Pilot」が開発され,それが後に「Treo」へのブレークスルーに繋がったとしています。

PalmとHandspringが行ったイノベーションとして,以下のような例をあげています。

・コンピューター・ベースの同期技術〜最初にPCで,その後,ウェブで行われるようになる
・ボタンを押すだけで起動できるハンドヘルド・コンピューター
・キーボード無し,タッチ・インターフェイスの大きなディスプレイのハンドヘルド・コンピューター
・ステップを減少させ,混乱を最小限にするためにピクセル単位で分析されたグラフィック・インターフェイス
・数万種類のアプリケーションとともに成功した,最初のモバイル・コンピューティング・プラットフォーム
・Palm V。機能と同じくらいユーザーに重要だったことは,スタイルと造形である事を証明。
・ウェブ接続が可能だったPalm VII。今日一般的に行われている,バックグラウンドでのデータ同期を行っていた。
・小さなディスプレイ上でも,ほとんどのウェブページを満足行く範囲で見る事の出来た最初のモバイル・ブラウザ。これ以前はテキストベースでかなりの制限があった。
・写真を添付できるEメールやテキスト・メッセージからボイス・コールでダイアルできるなど,機能統合されたパーソナル・インフォメーション・マネージャー。
・電話とハンドヘルド・コンピューターを本当の意味で”ポケッタブル”な形状に完成させた,Treoスマートフォンというブレークスルー
・Jon Rubensteinのディレクションの元,開発されたwebOS。ウェブ上のパーソナル情報を一つのデバイスで組み合わせて表示するという先例のない機能。

そして,このように結んでいます。

”このようなイノベーションのリストは,どのように説明したらよいでしょうか?
Palmは,どのように記録達成を促進させたのでしょうか?
答えは簡単です。
偉大な人々と偉大なカルチャーです。

全ての人がプロダクト・デザイナーになれるわけではありません。
それには,マーケットへの深い理解とともに技術を組み合わせるといった特定のスキル・セットが必要です。
このようなキャラクターが一緒になることは,そうは起こりません。
Palmは,才能溢れる人々を探し出し,親交を深め,公的な権限を与えました。

偉大なプロダクト・カルチャーには,常識を拒絶する能力が必要とされます。
何度も,何度も,Palmはユーザーにとっての正しいトレード・オフを考えました。
Palm Vを開発したとき,薄く,最も美しい製品にするためにバッテリーを内蔵しました。その時には論争の的となる決定でしたが,製品は大変成功しました。
偉大なプロダクト・カルチャーは,失敗すら寛大に扱います。
Palmは二つの方向に進化する製品を常に開発していました。
カスタマーが探していた追加機能を備える安全な製品。
成功までに何度かの繰り返しを要求されるリスキーだが革新的な製品。
Treoが巨大なヒットに結びつくまでには3世代がかかりました。

PalmとHandspringの多くのイノベーションは(Jeffが20年前に予測していた)ハンドヘルド・コンピューティングのデザインと未来に影響を与えました。
ハンドヘルド・コンピューティングは,まさしくパーソナル・コンピューティングのハートとソウルとなりました。
今日,PalmはHPの一部になり,7番目の生命が誕生しました。
この7番目の生命が,前の6つが為し得たよりも大きなインパクトを世界に与える事を期待しています。”

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このエントリーはPalmfan.comの2010年7月5日分からの再掲です。

M.Hirose

A.K.A author of palmfan.com

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