ジェフ・ホーキンスの「考える脳 考えるコンピューター」

PalmPilotを開発し,”ハンドヘルドコンピューターの父”とも呼ばれているジェフ・ホーキンスの脳に関する本。
脳の研究に関しては,ハンドヘルドの開発よりも長く行っていて,おそらく本人のとらえかたとしてはこちらの方が本業なんだろうなと思います。


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考える脳 考えるコンピューター
ジェフ・ホーキンス (著)
サンドラ・ブレイクスリー (著)
伊藤 文英 (翻訳)
ランダムハウス講談社 (2005/3/24)


この本の中でのPalmPilotに関しての記述は2〜3箇所程度。
一番長いものは最後の方に出てくる「グラフィティ」の話。
それもP208〜209の2ページのみで,その当時の問題(手書き文字認識の不確実性)を脳の特性を生かす形で解決したという一例を紹介してるだけです。なので,ハンドヘルドコンピューターの父としての自伝的内容かと思うと期待はずれになると思います。
ただ,仕事術,記憶術をテーマとした本がベストセラーになる昨今,その大元である脳についての理解を深めておくのは,とても有利なことだと思うし,長い間,自分の一部として使っていたPalmデバイスを生み出した人のアイディアの源を知りたいなと思ったのが読もうと思った理由でした。

この本の中で取り上げられている脳の話は,新皮質の働きと構造がほとんど。
そして,その理論を元にした人工知能の実現性についての予測も後半にまとめられています。

新皮質は名刺6枚分の厚さ,広げるとテーブルの上に置く食事用ナプキンと同じくらいのサイズ。
ここでは,視覚,聴覚,触覚などの人間の身体に備わっているセンサーからの信号を受け取って,パターン・シーケンスを普遍的情報として記憶し,同じような信号が入ってきたときに予測情報を伝達する,という仕組みで知能を実現している。
このパターン・シーケンスを記憶し,それを普遍的情報に変換するといった作業を,新皮質の6つの階層では下から順番に行われていき,次に似たような入力があった場合には,それによって起こる事を予測し,下位層に返していき,末端の動作(反応)に繋がるということです。

たとえば,自転車にはじめて一人で乗れるようになるには,ある程度,失敗を重ねないと出来ないと思いますが,これも身体からのバランス情報,身体の使い方を脳が学んで整理し,「傾いたときにはこうすると良い」などの予測が出来るようになってはじめて乗りこなせるようになる。その後は,それまでのようにいちからパターン認識をする必要は無く,「同じ信号がきたから,こういう動きをすればOK」という仕組みになって,自分の手足のように使えるようになる。

細かいところの表記が正確ではないかもしれませんが,おおまかにいえば,こういう仕組みのようです。

そう考えると,「言葉」にしても,「音楽」にしても,何か新しい事を学ぶときには小さな単位を知り,理解という段階を経て,最終的に創造性を発揮できるようになることに気がつきました。

となれば,今後,新しい事を学ぼうとしたときには,それがどんな事であろうとも,その最小単位を理解して,吸収していくことが,一番効率的で確実な方法なんじゃないかと思いました。

とてもいろんな気づきがあった重要な一冊でした。









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